ナンダカナガハマアタラシイ〜長浜でチャレンジする人へインタビュー〜

インタビュー

  • 2019.08.19
  • 飲食・店舗販売

農家が作る美味しいお弁当。世代をつなぐ場所を作りたい。

あぐり佐左ヱもん。よばれやんせ。稲田 光子さん

白いご飯と焼いたり煮たりひと手間加えた茶色のおかず。見た目は地味でも美味しい、懐かしい。そんなお弁当やお惣菜を中心に提供する「あぐり佐左ヱもん。よばれやんせ。」をオープンした稲田光子さんをご紹介します。

【起業のきっかけ】
主人から加工品を作りたい、やってみないかと提案されたことから

あぐり佐左ヱもん。よばれやんせ。稲田 光子さん
あぐり佐左ヱもん。よばれやんせ。稲田 光子さん

主人が脱サラし、兼業農家から専業農家となったのが16年前。嫁いだ時は実家よりも田んぼが少なく、田んぼの手伝いはあまりしなくても大丈夫かなと思っていたので、ちょっと想定外でした。

主人が農家となってからは、美容師や調理師、介護の仕事を続けながら、できる範囲で手伝いをしたり、畑で野菜を作ったりと農家の嫁が板についていきました。

あぐり佐左ヱもん。よばれやんせ。稲田 光子さん

今や14ヘクタールの田んぼで作付けしており、この辺りでは中心的な農家になりました。

主人の作る米は、環境に優しいこと、安心して食べられること、そして何より美味しいことを目指して、米ぬかや魚エキス、自家培養の光合成細菌などの有機肥料を使って育てています。その甲斐あって、長浜市のコシヒカリ美味しいお米コンテストでは、平成27年度の最優秀市長賞を受賞しました。

長浜市のコシヒカリ美味しいお米コンテストでは、平成27年度の最優秀市長賞を受賞

そんな農家としての生活に慣れてきた頃、主人から加工品を作りたい、やってみないかと提案されました。農家の繁忙期は春から秋にかけてで、冬は比較的時間があります。その時間を利用して何かできないだろうかと考えたようでした。

私は調理師や介護など様々な仕事を経験してきたので、私にならできるのではないかと主人が思ったのでしょう。

最初はその提案に戸惑いましたが、私がやらないのであれば他の人にとの主人の言葉に、他の人に任せるならば自分でやりたいと決心しました。

あぐり佐左ヱもん。よばれやんせ。
オープンされた「あぐり佐左ヱもん。よばれやんせ。」

農家が農産物の栽培から加工、販売までを行う6次産業化をしたいというぼんやりとしたイメージはあったのですが、「自分だからこそできることは何か?」と考えを巡らせると、上手く想いがまとまらずにいました。どのように進めていけばいいのだろうと思っていたところ、ながはま・こほく創業塾が開催されることを知って受講することに。

創業塾では、起業に必要な基本的な知識を習得できる授業から実践的な授業まであり、何も分からない状態から少しずつ前に進んでいる実感がありました。
中でも事業計画を作り上げて行く過程で、自分がやりたいことが具体的になっていき、考えがまとまっていきました。

あぐり佐左ヱもん。よばれやんせ。

私のやりたいこと。それは、美味しくて、体に優しい、お母ちゃんが作ってくれたような懐かしさを感じるご飯を提供すること、そして、地域の高齢者から子供まで世代を超えてつながることができる場所を作ることだとはっきりと輪郭が見えてきました。

この想いは介護施設での仕事の経験から生まれたものです。高齢者の皆さんは外出を楽しみにしているのに、その際の食事に困っていると知ったとき、コンビニのオニギリやお弁当もいいけれど、それよりも昔母が作ってくれたおかず、母から習って自分が作ってきた普段のおかずを食べてもらいたいと思いました。そして、将来的には高齢者が安心して子供や孫と一緒に食事ができる農家レストランを作ることが目標になりました。

あぐり佐左ヱもん。よばれやんせ。

目指すところが定まってくると、調理師をしていた次女が協力してくれることに。娘のサポートを受けて、ますます勢いづくことができました。

6次産業化をしたいと考えはじめてから5年。今年の6月にお弁当・お惣菜を中心に製造販売する「あぐり佐左ヱもん。よばれやんせ。」をオープンしました。

あぐり佐左ヱもん。よばれやんせ。

自宅のすぐ横に構えた加工所兼店舗。前の畑にはトマトやピーマンが育ち、そしてその奥に広がる田んぼには、生き生きとした緑の稲が風に揺れる。そんな田舎風景の中にあります。

【現在の活動状況】
家族と一緒に弁当を作ったり、お店ではランチを提供しています。

まだオープンしたばかりで、勝手が分からないことも多いですが、今は月曜から金曜日まで主に日替わり弁当を作って販売しています。肉か魚をメインに、旬の野菜を使ったその日その日で違うメニューを考えているのですが、それが思った以上に大変です。

お弁当を詰める容器のサイズが少し変わっただけで、同じ内容でも見た目が違って見えてしまうことも。最近はおかずの詰め方のコツが掴めてきて、お客様からは「お弁当のグレード、上がったんじゃない?」と評判も上々です。

あぐり佐左ヱもん。よばれやんせ。焼きサバ
店内ではお食事も可能です。この日は焼きサバ

お店の中にはイートインスペースを設けており、お店にお越しのお客様には、お味噌汁をつけたワンプレートランチを提供しています。お客様をがっかりさせたくなくて、いつも少し余裕を持って用意しているのですが、読みが外れて余ってしまうこともあります。その計算が難しく、事前にご連絡をいただけるととても嬉しいです。

あぐり佐左ヱもん。よばれやんせ。焼きサバ

店内でのランチの提供はお客様の反応がすぐに返ってくるので、いつもハラハラドキドキです。満足そうなお顔で帰っていただけるとホッと安心して、明日は何を作ろうかなと前向きな気持ちになります。

お弁当はプラス料金で配達もしているので、配達が重なってしまうこともあります。その時は家族総出で配達です。主人も協力的で、配達はもちろん、最近は自分の食器を洗ってくれるようにもなりました。みんなのサポートがあって今こうして仕事ができています。

【今後のビジョン】
郷土の味を次の世代に伝えていきたい

今は主にお弁当を中心に、注文を受けたり、店舗で直接販売したりしていますが、今後は道の駅など他のお店にも商品を置いて販売していきたいと考えています。

目新しい料理もたまにはいいけれど、昔から受け継がれてきた味を次の世代に伝えることも大切です。そんなお惣菜や郷土料理を作って販売していきたいです。

お土産物にもなるようにスイーツも作りたくて、プリンやサブレを試作
ただいま試作中のプリンを美味しくいただきました。

また、お土産物にもなるようにスイーツも作りたくて、プリンやサブレを試作しています。少し懐かしさを感じる商品になればと思っています。

そして、私の最終的な目標は、高齢者が安心して来ることのできる農家レストラン。気取った食事ではなく、普段から食べているような「お母ちゃんの茶色のおかず」をメインにしたレストランです。

あぐり佐左ヱもん。よばれやんせ。

店舗の前にスペースを空けているのは、いつかこの場所をレストランにしたいから。地味だけれど、懐かしくて滋味深い料理を提供する小さな農家レストラン。田舎風景の中、家族でほっこり穏やかな時間を過ごしてもらえるような農家レストランにしたいです。

あぐり佐左ヱもん。よばれやんせ。へのお問い合わせはこちら

社名 / 屋号 あぐり佐左ヱもん。よばれやんせ。
住所 〒529-0703 滋賀県長浜市西浅井町野坂173-1
TEL 090-5010-9603
営業時間 11:00~13:00
17:00~18:00(要予約)
※ご予約をいただいた場合は夕食用お弁当を販売しています。
定休日 土・日曜日・祝日
(平日も都合によりお休みの場合がありますので、ホームページやfacebookで確認してください。)
URL あぐり佐左ヱもん。よばれやんせ。
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