小さな頃から歴史が好きで、なんだか仏さまに会いたくなる。
仏像を大切に、地域で守っていこうとする長浜の人に惹かれ、東京からの移住を決断。長浜を中心に仏像をつうじた地域に携わる仕事をされている、對馬佳菜子さんのご紹介です。
私は、平成29年9月に長浜市地域おこし協力隊として東京より移住してきました。生まれも育ちも東京で、大学卒業後は人材会社に入社し、地方創生関連の新規事業を担当していました。
仕事と趣味は分けてはいたつもりでしたが、次第に自分が好きな「歴史」に関係するような仕事をしたいと考えるようになりました。
小さな頃から昔話が好きで、なんとなく古いものに惹かれていました。家族旅行で、奈良のお寺や神社に行ったことをきっかけに、更に歴史について深く興味を持つようになりました。
自分の知らない昔の景色を見てきている仏さまはとても魅力的で、仏さまをつうじて、昔の方とコミュニケーションを取っているような気持ちになる楽しさがあります。
大学時代は、日本史の専門的な知識を深めたい想いもあり、日本の仏教史を専攻し、お寺の歴史を学びました。特に専門的に研究したのが、鎌倉・室町時代のお寺と地域のかかわり合いです。昔からお寺と地域住民とは深く関わり合って、地域社会は成り立ってきました。
現在では、関係が希薄になりつつあり、離れいく傾向が見られるので、専門的な用語ではなく、優しい言葉でお寺や仏さまの魅力を伝えていくことが必要だと感じていました。
なんとなく敷居が高く感じるお寺や仏さまですが、本来はとても身近なものであること、そして、その魅力を一般の人の目線で伝えていくことが、私のできることではないかと考えていました。
しかし、仕事をしながら、仏像に関連した仕事に携われるような、今後のためのヒントを探していましたが、中々自分の思うようなことには結びつきませんでした。
そうであれば、仏さまの文化が色濃く残る地域に行ってしまう方が何か見つかるのではないかと考えていたところ、たまたまSNSで長浜市地域おこし協力隊の募集を知りました。
この募集は、長浜市に定住し、地域に根差した活動を展開することで、地域力の維持と活性化を図ることを目的としていて、その募集要項には、長浜に関わる専門分野のテーマがいくつかあり、その中の一つに、観音の里プロジェクトというテーマがありました。長浜独特の観音文化をコンテンツ化・地域外に発信していくプロジェクトです。
以前から長浜には何度も足を運び、仏さまを拝観しており、全く知らない土地ではなかったこともあって、心惹かれるものがありました。
すでに長浜に住んでいた知人などからも話を聞き、このタイミングで決断をし、応募しました。そして、長浜市地域おこし協力隊の二期生として活動することになりました。
地域おこし協力隊といっても、決められた活動ばかりをするわけではなく、長浜市との委嘱期間の中で、地域に根差し起業することを目標に活動しています。
仏像と言えば、奈良や京都が有名です。仏像は「仏教美術」として鑑賞の対象とされることが主流になりつつあり、観光資源として活用されることが増えてきました。
しかしながら、長浜には「拝む人」がいる風土がしっかりと残っており、そこに魅力を感じていました。
長浜に訪れた時には、地域の方と話すこともありましたし、地域でお寺や仏さまを大切に守っていこうとする長浜の人に惹かれていたところもあるので、現在は、大好きな仏さまや歴史の話ができる日々日常を満喫しています。
ライターとしては、仏像関連のみならず、史跡や文化、お祭りなどの魅力を一般の方でもわかりやすく、長浜に行きたいと思ってもらえるような文章を書いています。
難しい用語や、専門的用語などを使いすぎると、何となく敬遠したくなってしまうので、そうではなく、日常にある表現方法を取り入れることで、読んだ方に親近感を覚えていただければ、お寺や仏さまに対する距離感を縮めてもらえるようになるのではと考えています。
仏像コーディネーターとしては、仏像を中心に地域の歴史文化PR事業のお手伝いや、モデルコースの提案、マップ作成をしています。長浜市内のことだけではなく、滋賀県の魅力発信にも努めています。
最近の観光といえば、メジャーな場所ばかりを巡るのではなく、ローカルな場所を求める方も多くなってきています。全く新しいものもいいですが、私は古くからあるものを大事にして、その良さを皆さまに伝えていきたいです。
事業を始めた直後は、同じ市内の中でも集落によって違う風習があることも知らず、わからない点が多かったですが、早くに地域に馴染めるよう、お寺に何度も足を運び、地域の方々との交流を重ねてきました。また、たくさんの方々とお話をする中で、その地域のマナーを覚えることもできました。
現在では、お寺や仏像関連の事業をしていることで、“観音ガール”と呼んでいただけるようになりました。長浜の観音文化を、難しく伝えていくのではなく、一般の方でもわかりやすく伝え、魅力を発見してもらえるような役割を担っていきたいと日々活動しています。
また最近では、仏さまに関するグッズを開発しています。地元のお堂を守る世話方さんのお力をお借りして、「お家でご開帳」というお堂型フォトフレームを作りました。お家でも、仏様を拝める!なんて、素敵じゃありませんか。
その世話方さんは、もともと地域の方からお地蔵さんのお堂を作ってほしいと依頼を受けて、自宅で作っていらっしゃいました。その手づくりのお堂を見せていただくと、職人さんかと思うほど本格的なお堂だったので、とても驚きました。
そこで、気軽に自宅に置けるような小さなお堂を作りたいとお話させていただいたところ、ご協力いただけることになりました。
もともと、仏さまのポストカードや写真をファイリングしていましたが、毎日拝むことや、お顔を見るというようなことがなかなか出来ませんでした。
しかし、小さなお堂があれば、ご開帳の時のドキドキ感を自宅で味わえるのではないかと、考えていました。その想いに共感していただき、実現に向けてスタートできたことは、とても嬉しかったです。
試作品が完成する度に、自宅へ持ち帰り開帳や閉帳をし、実際の使い勝手やこだわり部分を確認しました。自宅にあるだけで、なんとなく日常的に手を合わせることが増えました。
長浜には、観音の里と言われるほど、たくさんの仏さまが地域の方々に守られてきました。そして、仏さまがその地域を守り、地域の人々は観音様と親しみ、拝むことを続けています。
そのような地であるからこそ、日常から手をあわせる機会をつくってほしい、そのきっかけづくりとして出来あがったのが、「お家でご開帳」です。
一つ一つ丁寧に手作業で作られているため、数に限りがありますが、まずは長浜の観音まつりに向け準備を整えます。
1点は、敷居を低くして、一般の方が楽しく仏さまに触れ合う機会をつくることです。一般の方に馴染みやすい「仏さまを拝む」文化を伝える役割が私にあると感じています。
学芸員は、専門的な話がしっかりとできますが、一般の方には分かりづらい点も多く、理解しにくいことも多いです。専門的な言葉を柔らかい表現にし、専門的すぎず、一般の方にわかりやすい日常にある表現方法を使って、仏さまと人との橋渡しできるような仕事をしていきたいです。
2点目は、お寺を管理されている方々へのサポートを出来るようになることです。今後さらにお堂の管理に必要な知識を身につけて、サポートできる体制を整えていき、地域の方々の手助けになれるように努めたい。
そして、クラウドファンディングの活用や、今現在のみならず、10年先、20年先にも、必要なときにはすぐに手を差し伸べられるようにしていきたいです。
また、最近では、仏像の盗難などが増えており、どのような盗難防止策があるのかを勉強していく必要があります。そういった注意喚起の活動をされている方々とも積極的に交流し、仏さまをお守りできるようにしていきたいです。
事業を継続していく中で、まだまだ知識不足のところも多いので、広い視野を持ちながら事業を続けていく必要があります。視野や活動の場を狭めることなく、積極的な活動を今後も続けていきます。
まだまだ、地域のこともわからないことが多く、仏像の知識も浅いところがありますが、継続的な勉強や、定期的に県外のお堂へ足を運んで、良いと思ったところは活動に反映していきたいです。
そして、地域の方とのコミュニケーションを大事にしながら、失敗を恐れず、私にできる“観音ガール”の役割を果たしていきたいです。
TEL | 050-7126-1605 |
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