ビワマスのおはなし

「ビワマスはおいしいアユを贅沢に食べているのですから、おいしくて当然です。」

滋賀県立琵琶湖博物館 総括研究員 藤岡康弘 氏

 ビワマスは冷水(7〜15℃)を好む魚で、水深おもに20m以下で生活しています。竹生島の辺りは琵琶湖のなかで最も深い場所であり、北湖の沖合はビワマス漁に適しています。
 ビワマスは脂がのり、たいへんおいしい魚ですが、これは琵琶湖のコアユをたくさん食べて大きくなったためなのです。川魚の王様であるアユをビワマスも贅沢に食べているのですから、おいしくなるのもうなずけます。また、なぜ身が美しい紅色になるかというと、アユの他にエビも食べているからなのです。甲殻類に主に含まれている赤い色素が影響しています。
 実は、エビのなかでも、ビワマスは琵琶湖にのみ棲んでいるアナンデールヨコエビしか食べません。固有種アナンデールヨコエビや琵琶湖が育むコアユを捕食し暮らすビワマスは、琵琶湖でこそ進化して生きてこられた魚なのではないでしょうか。
 ビワマスは不思議な生態をいくつも持っていて、その理由のわかっていないところがたくさんあります。私にとってビワマスは追い求めるべき謎の生き物なのです。